歯周病は初期症状がほとんどなく、歯茎のはれや出血などの異変を感じて歯科医院にいらっしゃるケースが多いのですが、その場合はかなり進行が進んでしまっている状態が多いです。進行した末期の場合は歯を失うこともあります。永久歯の抜歯の原因の第1位が歯周病であることが調査結果にも出ていることから、歯周病に気づかすに進行してしまっていたというケースが多い、とても怖い病気です。
 

そのため定期的に歯科医院で検診を受け早期発見することが大切です。また歯周病になってしまった場合は「なぜなってしまったのか?」という根本的な問題解決が大切で再発防止しなければ意味がありません。歯周病は予防出来る病気でもあります。歯周病の正しい知識で大切な歯を守っていきましょう!

歯周病はバイオフィルムによる感染症

バイオフィルムとは複数の細菌の集合体で、身近な例としては台所の三角コーナーやお風呂の排水管などの水で流しただけでは取れない粘着性の高いヌメリが挙げられます。このバイオフィルムは、正しいケアを行っていないとお口の中にも形成され、歯周病を引き起こす原因になります。

歯と歯ぐきの境目にできる隙間を歯周ポケットと呼びます。ここに細菌が集まりバイオフィルムが形成されると、細菌の構成成分や細菌が放出する酵素により歯ぐきに炎症が起こります。
歯周ポケットが形成され、中でバイオフィルムが成長し始めると、細菌を食べる多形核白血球や抗体が、バイオフィルムをやっつけようと自ら酵素を分泌し活発に活動します。
しかし、酵素はバイオフィルムのバリアーに阻まれて充分な攻撃ができず、逆に酵素によって歯肉が破壊され、歯肉の炎症がさらに拡大・進行していきます。
バイオフィルムが成熟し、ますます巨大化し、これに対して免疫細胞や抗体が戦闘を続行します。
このまま治療をせずに放置しておくと、炎症はますます進行し、歯ぐきを支えている骨も溶け始め、最終的には歯は支えを失って抜け落ちてしまいます。

歯周病がもたらす全身への影響

歯周病は口腔内だけの問題と考えられがちですが、実は全身の健康にも深い関わりがあります。歯周病の原因菌は歯肉の毛細血管から全身の血液中に廻り、体全身へと大きな影響を及ぼすのです。中期から末期の歯周病が以下のような病気が発生する確率を高くすると言われています。

 

■ 糖尿病:2~4倍
■ 脳卒中:2倍
■ 心筋梗塞:2倍
■ 低体重児などの早産:4~7倍
■ 慢性呼吸器疾患:2~5倍

 

このように、歯周病は命にも関わる大きな病気を引き起こす原因にもなりかねません。歯だけの問題と軽視していると大変危険です。また、上記に挙げたもの以外にも、歯が無くなることによって痴呆が進行したり、運動能力を低下させてしまうことも考えられます。歯周病は生命の危険とも関連していることを十分に理解し、予防していくことが重要です。
 

また、タバコを吸う人は、非喫煙者に比べて歯周病になる危険度が3倍以上になるという報告もあります。喫煙が歯周病を引き起こしやすくすること、または悪化させることは、今や常識となっています。喫煙がヒトに対して免疫抑制作用を発揮し、細菌をはじめとする寄生体との相互関係に有害作用を及ぼします。つまり、歯周病菌に感染しやすくなるということです。喫煙は歯周病に限らず、その他の病気の要因ともなりますのでぜひ禁煙しましょう。

※一部、保険が適用されない治療がございます。当院では十分なご説明のもと、いくつかの選択肢をご提案の上、治療計画を立ててまいります。お気軽にご相談ください。
 
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